第4章 常識・・・崩壊!

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「ん~?」 「い、いや、その・・・さ。」 ぐい、と顔を寄せ、俺を覗き込む魅沙を、正視出来ない。 「何だよぉ。内緒の事なの?」 「そ、そーゆー訳じゃ・・・」 察してくれても良かろうに。 お前がそーやって更に密着するから、その、感触とか匂いとか、目の輝きとか・・・ 「んっ!んんっ!」 咳払いで、少し頭を冷やす。 火照りは治まらない物の、若干の思考能力が俺ちゃんの脳で復活する。 「・・・俺、小さい頃、さ。」 「うん。うん。」 「科学者になって・・・ある物を発明しよう、って思ってたんだよ。・・・常識とか知識とか増えるごとに、出来っこないって諦めちゃってたんだけど。」 「マサが科学者ぁ!?」 「・・・おかしいか?」 「ん~んっ!ぜ~んぜん!そう言えば、マサは頭いいもんね!ただ・・・」 「ただ?」 「初耳だぞぉ。その話~!」 「まぁ、誰にも言った事ねーし。」 「え?じゃあ・・・」 「ん?」 「私が、一番最初にそのマサの夢、聞いたんだ。」 「あー・・・まあ・・・そう言う事に・・・なる・・・かな。」 「そっかぁ~!」 「お、おい魅沙!?」 魅沙は何故か顔を真っ赤にして嬉しそうに笑いつつ、更に密着・・・ てゆーか。 これは”抱き締められてる”って現象だ。 コイツの辞書には”人目を憚る”って言葉は無いんだろうか。 いや、人目が無ければいいとかじゃ、無い・・・い、いいのかな・・・ 「す、少し離れろよ!」 「へっへ~。」 俺の灰色の脳細胞が桃色に染まるギリギリで踏み止まり、魅沙を引き剥がす。 それでも俺の顔色を確認した魅沙は、どうやら満足のようだ。 「ど、どんな夢でも、さ。」 半分誤魔化し。 半分真面目。 俺は話を再開した。 「非科学的とか、非常識とか言って否定するのって、それこそ”非科学的”なんだよな。」 父公一の、あの日の講釈は、俺にも多大な影響を及ぼした。 そして。 幼い頃に仕舞っていた夢が。 また、音を立てて動き出してしまったのだ。 「で?」 「な、何だよ。」 「志村雅博博士は、何を発明したいんだって?」 「・・・タイムマシン。」 「え?」 「タイムマシン。」 「・・・」 「・・・」 笑わば笑え。 そんな気持ちで、俺はそれを応えた。
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