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「もしかしてーー
お館様はその父信秀様の女との、
初恋の続きをわたくしとーー?」
顔を赤らめて美加が思いついたまま話した。
「阿呆ーー
調子に乗るなーー
そなたはあの女のように美しくない。
生きることへの執着も大ありだ。
そなたは予の歓心を得ることにも
執着しておるではないかーー
あの女とそなたは似ても似つかぬわ。
それに、
予はそなたをいつでも
組み敷くことはできる」
そう静かに信長公は美加をみつめて言うと、
半年かけてようやく
肩より下に伸びた美加の黒髪を
ひとつかみ優しく信長公はてのひらに包み、
小さく一つ、
黒髪に口づけを落とした。
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