第一話 はじめての恋の病

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「確かに授業中に寝ちゃったあたしが悪いけど、そんなにからかわないでよ……」 あたしが机につっぷしたまましょんぼりと言うと、斜め前の席の清水さやかがニヤニヤしながら身を乗り出してきた。 「だって、寝てる時の雛かわいいんだもん。 あんな顔で授業中に寝てたらからかわれてもしょうがないって。 あんまりかわいいからこっそり寝顔動画撮ったけど、見る?」 そう言って、さやかは制服のポケットからスマホを取り出そうとする。 「え、嘘! あ、あたしの寝てるところを撮ったの?」 「うん。授業中にあんなに無防備に寝てる雛が悪いよね」 ……う。 そう言われるとそうなんだけど。 人の寝顔の動画をこっそり撮るなんてひどいと思う。 「見たいー! 見たい―!」 「え、俺も見たい。高木の寝顔見たい!」 面白がってさやかのスマホに集まってくるみんなに、あたしは慌てて声をあげる。 「やだ! 見ないで! だめっ!!!」 必死にスマホを奪おうとしていると、大きな手が上から伸びてきて、ひょいとさやかの手からスマホを奪った。
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