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「ばーか。いくら清水だって、授業中にスマホで動画なんて撮るわけねぇだろ」
見上げると、背の高い中田大地が呆れた顔であたし達を見ていた。
「ほら、清水もちょっと悪乗りしすぎだ」
めんどくさそうにため息をつきながら、大ちゃんはぽいっとスマホをさやかに投げ返す。
「ありがと、大ちゃん……」
大ちゃんはあたしの幼馴染みだ。
小学校の頃からおうちが近所で、気づけばいつもあたしの面倒を見てくれる。
同い年なんだけど、ちょっとお節介なお兄ちゃんみたいな存在だ。
「雛、涙目になってんぞ」
興奮して叫びすぎたせいでいつの間にか涙目になったあたしの顔を、大ちゃんは乱暴に制服の上に着たパーカーの袖でぬぐう。
「ん、大ちゃんイタイよ」
もうちょっと優しく拭いてくれてもいいのに。
と、思いながら大人しくされるがままになっていると、
「大地ってほんと、過保護だよね」
その様子を見ていたさやかが呆れたように言った。
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