シノブ

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 次々と銀の騎士が指をうち鳴らすと、薔薇は赤から黄色、ピンク、白へと色を変えていく。  やがては違う種類の花へと変化していく。  「指令は追ってだす、今日はこの辺で…」  「待って!!」  葉月は、目の前を通り過ぎる仮面を引き留めた。  「なぜ、私が選ばれたの?あなたの目的は何?そしてあなたは一体誰なの…?」  「ーーー他人(ひと)の涙の痛さがわかる女性(ひと)だからだ…。君なら決して自分の色を咲かせない…。クライアントの望みに合わせた花と色を咲かせるだろう。そして、私はそんな君がいとおしくて堪(たまら)らない…。それだけだ、葉月」  仮面は振り返ることなく、そう言い残すとその場を去っていった。  葉月の手の中にある花は小さな薄紫の花が一本の茎に円錐状につらなるものだった。  雄しべが鮮やかな黄色の頭を愛らしく垂らしているその花を見つめ、葉月は、銀の騎士が消えた通りをただ黙って見つめていた。  以来、葉月も由香もシノブの「死」に関する情報は一切掴めていない。
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