33983人が本棚に入れています
本棚に追加
「おかしい…」
廃墟と化した街にたどり着いたカイザーは、建物の影に隠れていた。気配は変わらず5つ…全てが街の中に侵入してきている。街は荒れ果て恐らく人間は住んでいないだろう。記憶を辿ればここはリンダの隣に位置する街…名前は…なんだったかな
カイザーは自分自身を落ち着かせようとしていた。自分の身体に起こっている異変はカイザーの頭の中をパニックにするに充分であった
馬車を降りてから…魔力が一切放出できないのだ
「っちい…まだ夢の中とでもいうのか?…いやそれはない。体の中に魔力は感じる。外に出すことが出来ないのか」
身体能力だけでも常人を逸脱する能力を持っているカイザーだが、追ってきた5人の追跡者達の実力を憶測するに、魔力なしで勝つことは困難だ。しかし、泣き言ばかりを言っているわけにもいかない
腰に携えられた剣に手を掛ける。剣には装飾が施されていたが、その装飾でどこの国の所属なのか分かってしまうため装飾を外して質素な剣となっている。持っているのはシケット王国の王に代々伝わるカイザーの家の家宝である剣。作られてから長い歳月を経ているはずだが刃こぼれも、折れてしまいそうな気配もない
最初のコメントを投稿しよう!