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「あんれ~。いつもの兄ちゃんじゃなくて、別の人間が来るなんて珍しいんだな~」
停止していたカイザーの思考を呼び戻したのは、一人の老婆であった
「ここには、何にもね~だよ…おらの故郷は悪魔の皇帝にやられちまっただ…」
老婆は手に持っていた花を無と化した国に供える。見ると、国の至る所に花が供えてある
「この国の者は殺され…そして、この国の王も殺されたんだ~。おらだけ生き残って…何にも無くなっちまっただ」
カイザーの思考は次第に元に戻り、かつて自分が王であった国の住人が目の前にいることにやっと気づいた
「ミネロさん…あなたはミネロさんなのですね…」
魔王となって乾ききっていたカイザーの眼から大粒の涙が溢れだして頬を濡らした
「…あんれま、おらを知ってるだか…すまないね~おらはもう目が見えないだよ…誰だい?教えてくんろ」
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