第22章-真実と別れ-

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「俺の正義か…俺はここにあった国の王だった…。大好きであった皆を失い、そして、大切な人を奪われた。俺の正義は命に代えても皇帝の首を取る事だ」 「…では、今、私を殺しておいた方が都合がいいのでは…」 「そうだな…しかし、貴様も被害者だ。ここから己が何を成すべきか見極めろ。その答えが、俺と戦うことだとしてもその時は相手をしてやる…」 「あなたのような甘い魔王は、私のいた世界では考えられませんね…」 「ふん。俺は甘くなどない...しかし、ここシケット王国は穏やかな国だった…せめて眠っている皆の為にもここでは争いたくないだけだ…」 元あったシケット王国の面影は無い。全てが破壊され無へと変換されてしまった跡地には、その地にいた民達の魂すらない。しかし、カイザーの記憶まで消せるわけではない。はっきりと、聞こえてくる鳥のさえずりに、川のせせらぎ、柔らかい暖かな匂い、のどかな田畑の風景…全てはカイザーの中に永遠に残っている… 取り戻せない日々を取り戻そうとは思わない。今ある現実を受け止めて、取り戻せるモノを取り戻す 皇帝を倒し、エレナを救う
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