第26章-四帝将-

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血飛沫で視界が全て真っ赤になるなど体験できることはないだろう。体験した話を聞くことだってないだろう。剣で斬られた人間から吹き出した血は空高く舞いあがって血のカーテンを創り出す。そして、カーテンはやがて重力に負けて血の雨へと姿を変える 血や人間の油を多く浴びた剣は切れ味が悪くなるというのを聞いたとこがあるだろうか。ラメシアの剣は今までに数万…いや、下手をすれば数十万の人間を切裂き、それだけの量の血を浴びてきていることは確実だろう 普通の者と違ってラメシアは剣を磨いたりしない。それは血が、ラメシアにとって戦闘で得た喜びであり、勲章だからだ。それで幾つもの剣を無駄にしてきたのは間違いない。血を浴びた剣は錆び尽き、切れ味を失う そこで、皇帝からもらったのが今使っている【血棘】である。剣身から柄にいたるまで全てが赤で統一された剣で、初めはただの色の塗られた剣であった。しかし、血を吸うごとにその切れ味は増していき、いつしか鋼鉄すらも容易く切り裂く剣へと成長していたのだ。そして、この剣を作ったのが他でもない帝国の鉱山地帯に隔離されているドワーフ達である 「ああぁぁ~、いいわ。あなた達…スパスパ切れてとても嬉しいわぁ。もっともっとあたしを感じさせてちょうだい。あなた達の血で…あたしを染め上げてちょうだい」 顔にへばりついた血を舐める彼女の姿は正に狂人...これには屈強の騎士であるガインズの軍勢も一歩引いてしまう
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