2*存在証明

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「あー、何々ー、みんなー。てか、そう固くならないでよね」 そう言って、少し遅れてから、後ろのスクリーンにその人間と思しき映像が映った。 そこに映し出されていた様子から見ると、どうやらその人間は男で、歳は30半ばのように見えた。また正装で着るような、灰色の滑らかで反射させる生地のスーツに身を包み、髪はオールバックにしていた。 「あ、もしかして、まだここがどこなのか。僕が誰なのか分かっていないようだね」 そう言うと、男はつまらなそうに、その場を片足で一回転した。それから、回転し終えたところで、目の前の台に両手をついて、身を乗り出すようにそこにあるマイクに顔を近づけた。 「じゃあ、ヒントをあげよっか。うーん……そうだねー……。あ! こんなんのはどう? 僕は人間ではありません。名前もありません。 ――――こう言ったら分かるでしょ!」 男は腕を組んで、納得するかのように深く何度か頷いた。だが、こちらからしてみれば、一体なんの話をしているかさっぱりだ。 それに、ではあの男の正体が人間でなければ、一体なんなのだろう。いくら凝視したところで、その男がモンスターになったりすることはない。何の変哲もない、ただの人間にしか、僕には見えなかった。 「あー、沈黙だねー。これをスベるって言うの? ……まぁ、僕には関係ないことだけど……。 じゃ、2つ目のヒント言ってあげよっか。2つ目のヒントは、君たちも人間じゃないってこと。 ――――あ、君たち、まだ自分のことを人間って思ってちゃダメだよ? あくまで君たちは人間わず!なんだから――――」 そう言って、その男は笑いを堪えるかのように、俯いた。そして、男は教卓についていた手を曲げ、肘をついて、尻を後ろに突き出した格好をした。 「ここまで一気に言っちゃったけど……もう、これで分かったよね?」 いや、全く分かりません。というか、これが例え漫画やドラマの名探偵だろうと刑事だろうと、分かるはずがない。 そもそも自分が人間でないというのはどういう意味か――――。 手足があって、頭も鼻も目もあって……、二足歩行もしていて――――。 僕に人間じゃない定義が当てはまるものなんて、ないはずだ――――。
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