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目を覚ませば、俺は上下真っ黒のジャージに、首には隙間なくピッタリとくっついている感じで首輪がつけられていた。その首輪は何かの金属で出来ているような手触りで、首の後ろには何やら四角いブロックのようなものがついていた。
かと思えば、自分の左手には腕時計を模した、画面が真っ黒の何かがつけられていた。その腕時計のようなものの横には3つのボタンがあって、何度か押して試してみたが、全く動く気配はなかった。
気配――――で思い出したが、俺のいる空間には何人もの――――いや、何十人もの人の気配を感じた。
時々聞こえてくる「え……?」とか、「ここは……?」とか、発せられた言葉はまちまちだが、その声色からここには男性も女性もいるらしい。
というのも、俺の視界は真っ暗で、何にも見えてない。更にはどうして俺がこんな場所にいるのかも全く身に覚えがなかった。
俺は何かの夢かと思いつつも、速まる心拍数の中、この暗闇に息をひそめていた。
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そもそも、思えば俺は床に伏して寝ていた。その状況からして、おかしいとは思わないか。自分の家ならまだしも、なら何故自分の部屋に何十人もの人がいるのか。
その過程がおかしいなら、俺はどこか外で倒れていたのか? ……いや、それなら起きたときに陽の光か月明かりか――――、でなくたっておそらく光は感じるはずだ。まぁ、俺が盲目でないならの話だけど。
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――――て、あれ……? 俺って目、見えるよな……? もしかして本当に盲目じゃないよな……? そもそも俺の名前って……なんだっけ……?
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