1*状況把握

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・ 結局、僕は辺りが明るくなるのと同時に、その場に膝をついてしまった。 その時に感じる膝の痛みから、今まで暗闇に包まれていた、底なし沼のような床の正体がコンクリートでできたものだと分かった。 また、本来、頭の痛かった僕だが、急に目に光という刺激を受けると、今度はそっちが気になって仕方がなかった。 僕は目を細めながらも、適当に床に手をついて、ふらつきながらもその場に立ち上がった。それから、だんだんと光に慣れてきた目をゆっくりと開けた――。 「っ―――――!?」 僕は目の前の光景を信じることができなかった。まるで僕は何かドラマか映画の撮影に紛れ込んでしまったようだ。 いや、そう言えるのはドラマや映画の大半が〝作り物〟であるかのように、僕の視界に入る世界がまるで〝フィクション〟のようだったからだ。 目の前には人、人、人、人、人――。 そして、どの人も上下黒い無地のジャージを着ていて、首には金属でできた銀色の首輪がされていた。中にはその他、眼鏡などをしている人もいるが、やはり靴などは学校の上履きかのように、指定された黒い靴を履いていた。 僕は先ほどまで黒い――おそらく電気のつけられていなかった状態でしか自分の様子を確かめていなかったから、あらためて自分の様子を見た。 両腕を伸ばし、また腰を屈めて足元を見ても、やはり僕は周りにいる人たちと同様の恰好をしていた。そして、少し左腕が重いと感じ、めくれば、暗闇の中では手触りでしか感じられなかったが、今ではそれがデジタル時計だとはっきり分かる。おそらく、さっきの部屋の明かりがついたと同時に、この時計の電源も入ったのだろう。 では、一体誰がそんなことをしたのか――。 周りを見渡したって、僕と同じように、ここにおかれている状況が分からず、また自分たちの身なりに驚いている者しかいない。しかも、今気づいたのだが、僕の周りには人ひとり、はさめるかどうかという、本当に人の密度の大きい場所いるということが分かった。 そして、どうやら僕は周りよりは長身の人間らしい。もしくは目の前にいたのが女子だからか――。僕は目の前に何百人もの人間がここに集合しているという情報を手に入れた。
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