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その間に、後ろからはとことこと、小さな気配が近づいて来て……。
こちらが何かしらの反応を示すよりも先に、ぎゅっ! と、背後から腰に抱きつかれた。
「うへへへぇ……」
俺の背中に顔を埋めて、昼下がりの闖入者(ちんにゅうしゃ)がくぐもった下品な笑いを発した直後、
「……ふ、フウちゃん?」
ようやく謎の呪縛から解放された俺は、錆び付いたブリキのオモチャのような挙動で肩越しに背中を見やり、そして、しがみついていた小さな女の子の名前を呼んだ。
「うん!」
元気のいい返事と共に顔を上げたのは、ブラウンのショートカットとくりくりした大きな瞳が特徴的な、元パーティーメンバーの彼女だった。
「何、やってるの……?」
思わず質問を質問で返した俺に、
「変質者ごっこ!」
屈託の無い、眩(まぶ)しいほどの笑顔で、フウは歪んだ遊びの名前を口にした。
……うん。そういうのはいらない。
宣言通りに、体を密着させたまま俺の胸やら太ももをまさぐり始めたフウの得意気な顔を、光を失った無感動な瞳で見つめていると……。
フウは、俺が凄く怒っていると勘違いしたのか、慌ててセクハラを中止。背中から飛び退いた。
俺は、少し乱れたブラウスの胸元と、軽く捲(めく)れたスカートの裾を直してから、立ち上がって大きく深呼吸。
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