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「お帰り、ヒメ！ ……っていうか、えっと、何怒ってんの？」
ぽつりと、『いいところで邪魔しおって……』と漏らしつつも、満面の笑みで自分に向き直ったフウに、
「…………」
しかし、ユキヒメは返事しないまま、ゆっくりと俺達の元へと歩み寄ってきた。
無言の圧力を伴ってフウの目の前まで進み出た彼女は、まず非難がましい視線でフウを……。それから、ゴミでも見るような眼差しでリクを見やってから、
「ふざけるのも大概にしろ。アリシア殿は嫌がっているぞ」
ぴしゃり。
有無を言わせない口調で、悪役の二人を一喝(いっかつ)した。
「えっ……。い、いや、別に嫌じゃないよねっ？ ね、アリシアちゃん」
ユキヒメの迫力にたじろいで口ごもりながらも、フウはすぐに笑顔を取り繕(つくろ)って俺に尋ねてくる。
……真っ直ぐに見上げてくるブラウンの瞳から逃れるように、俺はしばし視線を彷徨(さまよ)わせてから、
「……フウちゃん。これ、そろそろ止めてくれない、かな？」
やがて、おずおずと、控えめに困っている事を主張。
直後、『そ、そんな……』という心の声が聞こえてきそうな顔をして俯いたフウを尻目に、
「それからリクくんも、手、痛いから放してくれる？」
「ごめんね、アリシアさん。ちょっと調子に乗っちゃってさ」
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