演劇

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「別に、心配しなくても大丈夫だよ。あの二人って定期的にケンカするしね。それに、今のあれはケンカとかじゃなくてさ、ただフウがアリシアさんにヤキモチを焼いただけなんだから」 「……ヤキモチ?」 何を言われたのか分からずに、小首を傾げて聞き返すと、 「ほら、あれだよ。好きな子が自分以外と仲良くしてるのを見るとモヤモヤするっていう……。まぁ、僕はよく分からない感情だけど、きっとフウはユキちゃんに構って欲しかったんだね」 うんうん、と、勝手に納得して自己完結してしまったリクから視線を外して、俺は再びユキヒメとフウの方に首を向け、黙り込んだ。 俺だって一応、少し前までは彼女達とパーティーを組んでいたのだ。 一緒に活動していたのは短い期間だったとはいえ、多少なりともフウ達の人となりについては理解しているつもりだ。 だから、今の彼女達の間に割って入るとか、そういう仲裁的な事をしなくても、今後、特に大きな問題は無いであろう事は予測できるけれど……。 ……それでも、ずっと見てるだけで何もしないのもなぁ…………。 などという事を難しい顔をして考えながら、早速追いかけっこを始めたフウとユキヒメの動きを目で追っていると、 「ねぇ、アリシアさん。僕達もユキちゃんが買って来たクレープ頂こうよ」
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