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「えっとっ、その……。ほら! 寮の部屋なら、ここよりもちゃんと休憩がとれるし、ここと違って場所の使用時間の上限とかないし、それに、遅くまで練習するなら色々都合がいいと思って、だから…………」
わたわたと、立て続けに寮での演劇練習の利点を上げたエルは、最後に再び心配そうな眼差しで俺の顔を見た。
……まぁ、確かに彼女の言う通りだ。
ここよりも寮の部屋の方が勝手はいいだろう。
俺の方には特に断る理由はないし、なによりせっかくの申し出だ。
無下にするのは気が引ける。
下から覗き込むようなエルの目を見つめつつ、少し考えてから、俺は首を縦に振ったのだった。
「ありがとうエルちゃん。それじゃあ、お邪魔させてもらってもいい?」
「……うん!」
8
一度、俺は自分の寮の部屋に戻ると、既に三日目のお祭りから帰って来ていたシーマに事情を告げて、そしてそのままエルと一緒に彼女の部屋に向かった。
少し弱まり始めた西日を背に受けながら歩みを進めて、やがて到着した部屋に案内されて、中に入ると……。
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