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ひょっとしたら、今のこの、眠っている女の子と薄暗い部屋に二人きりという状況のせいで、気が大きくなっているのだろうか?
『学院祭』の期間中、少々特別な経緯を辿(たど)って今の場面に遭遇したという非日常性も、知らず、拍車を掛ける形で……。
……もっとも個人的には、既に“そこそこ”の非日常など軽く凌駕(りょうが)してしまうほどの数奇な日常を送っている自覚があるのだが…………。
それはともかく、俺が今置かれている状況は、大抵の男子なら誰しも一度は憧れそうなシチュエーションだ。
『いまいち得体の知れない変態に押し付けられ、無理やり……』などという、嫌な意味での非凡な展開とは違う。
純粋に青春っぽくて、胸が踊る。
気を抜くといつまでも甘えてしまいたくなるような、心地のいい空間。
「すぅ……すぅ……」
そんな事を考えながら、至近距離で眠り続けるエルの顔を見つめていたら……。
……なんだか急に、彼女を起こすのがもったいなくなってきてしまった。
「…………」
(……やっぱり、もう少しこのまま…………)
さんざん葛藤したあげく、結局そっとしておく事に決めた俺は、ここにきて大人しく二度寝をしておく事にした。
(寝れるかな、もう一回……)
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