演劇

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上体を起こしながら、捕獲したばかりの獲物の姿を確認するために薄暗い部屋の中で目を凝らした瞬間。 ビィン! 「ふにぅ……!?」 突然、俺の手の中の紐(?)が強く張ったと思ったら、今度は今まで眠っていたエルが飛び起きた。 …………え? (え、ええっと……) 少しの間、俺は急速に移り変わる状況についていけず、ぼけっとしていたものの……。 やがて、もう一度捕まえた獲物に視線を向けた。 暗がりの中で注視したそれは、闇に溶け込むような色をした“異形の尻尾”。 先端が鏃(やじり)のように鋭角的に尖った、けれども不思議な柔らかさと体温を感じさせる尻尾だった。 「…………」 無言で尻尾を見つめていた俺は、今度はゆっくりと視線を動かして、これが繋がっている先を見やった。 (やっぱり……) 思ったとおり、尻尾の根元はエルのスカートの中。 大きく捲(めく)れ上がったプリーツの中の、デフォルメされた可愛らしい羊がデザインされたパンツの上に……。 (……って) 無心にそこまでの事を確認し終えた俺は、けれど、ここでふと我に返ってエルの顔を見つめた。 すると、すぐにポカンとした様子の彼女と目が合って、 「「…………」」
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