368人が本棚に入れています
本棚に追加
勢いよく頭を下げて、心からの謝罪。
真っ直ぐに送った俺の声は、しかし、ほとんど同時に発せられたエルの声と重なった。
「「…………へ?」」
間の抜けた表情と共に顔を上げると、またもシンクロするように、きょとんとしたエルの涙目と目が合った。
「「…………」」
……そして、再び訪れたエルとの謎の無言タイム。
およそ五秒間にわたる二度目の沈黙の時間を破ったのは、今度は俺の方だった。
「え、エルちゃん、ごめんね。さっきはいきなり、その……尻尾を引っ張って……。びっくりしたよね。……痛かった、よね?」
自然、不安そうになってしまったこちらの言葉に、
「……う、ううん! そんな…………」
一瞬、彼女は驚いたように目を見開き……。けれど、すぐに力強くかぶりを振ると、
「わ、私の方こそ、黙っててごめんなさい。……実は、私は『サキュバス』の血が混じった半妖で、それで…………」
まるで懺悔(ざんげ)をするように、自身について告白した。
「だから、その……。ご、ごめんなさい」
悲痛な顔で、再度謝ったエルに、
「……別に、エルちゃんは悪くないよ?」
俺は、そっと言い聞かせるように否定の言葉を投げ掛けた。
「……えっ?」
「だって、エルちゃんのはしょうがないでしょ?」
最初のコメントを投稿しよう!