演劇

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「……ねぇ、エルちゃん。ところで、エルちゃんは占いとかって信じる人?」 内容的に当たり障りのない、かつ比較的女の子の気を引けそうな事柄。占いについてだった。 小首を傾げて尋ねた俺に、エルは瞬(まばた)き二回分くらいの間を挟んだ後、口を開いた。 「占い? うん。私は、意外とそういうの信じちゃう方かな。……もしかして、アリシアちゃん占いで何か変な事でも言われたの?」 「う、うん。実は、ちょっと……」 何気に勘の鋭いエルの返しにたじろぎつつも、俺は数日前に占い師の子から思わず困惑するような事を告げられたのだと、それとなく彼女に伝える。 「そっか……」 聞き終えると、エルは僅かに苦笑を滲ませながら、 「アリシアちゃんは、占いで言われた事とか、そういうのって気になっちゃう人?」 「ううん。別に、そんな事はないんだけど……」 実のところ、全く気になっていない訳ではないのだが、ただ、なんとなく認めるのが恥ずかしかったので、俺は首を横に振るものの……。 ……きっと端から見たら、今の自分は頑張って強がりを言う気にし屋の女の子に見えるんだろうなぁ、と、それとなく察せられてしまい、 (…………はぁ)
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