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『June 6』
とんでもない思い違いだったの
『あなたにとって私は特別』
なんかじゃなかった
あの日……
友達だった境界線を
踏み越えてなければ今頃
仲のいい親友でいられた
初めて出会った日はまるで
昔から知っていたような気持ちで
どこか似てたのね2人
いつも8時2分発の
4両目に乗っていた
眠そうな姿探して
いっそ乗り過ごして
行けるとこまで行けたら
何度願ったんだろう
勝手なひとりよがりだったの
『私にとってあなたは特別』
だった確かに
あの日……
突然降り出した雨から
逃れようと必死で走った
あなたが差し出した左手
繋いだまま
連絡も別にいらないわ
ただ無事で元気でいてくれればそれでいいの
消したアドレス帳No.000
そっと熱い肌に触れると
体の奥からキュンと
絞られる思いがした
憧れてたのかな
どこか望んでたのかな
深く心地よく堕ちてゆく
まだ冷たい風の吹くホームで
柄にもなく薄紅のスカート揺らし
伸ばしかけの茶色い髪なびく
少し待った?
じゃあ歩こうか
初夏の江ノ島方面
ウィンドサーファー
揺れる水面
忘れてもいいのに
ずっとエンドレスリピート
耳の奥の方微かに
流れるあの淡いメロディー
無理に消したくない
無理に嫌いにならない
今は溢れるまま
思いつづけるよ
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