10人が本棚に入れています
本棚に追加
さらに、そのベビーカーの右隣に、
5歳くらいの男の子がいるのが見える。
その赤子の兄弟だと思っていたが、
明らかに母親はその子供の存在を消していた。
その子供もまた、心配する母親や群集の存在を否定するように、
冷酷な笑みを浮かべていた。
沙樹は東西南北に合わせた紙きれを、
手のひらに置き高く掲げると、短い呪文を唱えた。
男の子が沙樹に気づくのと、沙樹が結界を張るのは
ほぼ同時だった。
最初のコメントを投稿しよう!