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さらに、そのベビーカーの右隣に、 5歳くらいの男の子がいるのが見える。 その赤子の兄弟だと思っていたが、 明らかに母親はその子供の存在を消していた。 その子供もまた、心配する母親や群集の存在を否定するように、 冷酷な笑みを浮かべていた。 沙樹は東西南北に合わせた紙きれを、 手のひらに置き高く掲げると、短い呪文を唱えた。 男の子が沙樹に気づくのと、沙樹が結界を張るのは ほぼ同時だった。
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