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(・・・まずい)
先ほどから沙樹の耳には、あるひとつの音が聴こえていた───。
それはおそらく普通の人間には聴こえない音で、
例えるなら、学校で行う聴力検査の高い音のような、
小さく、甲高く、
それでいてその音に沙樹は、不安と恐怖を
しっかりと叩き込まれていた。
沙樹はその音を追っていた。
馴染みの『仕事』だが、自信より不安や恐怖が先行するのは、
あの時の音に似ているからかもしれない────。
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