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沙樹の五感は今や獲物のすべてに注ぎ込まれていた。 ふいに独特のニオイが鼻をついた。 動物が腐敗したような、鼻を覆いたくなるような悪臭である。 沙樹は準備していた正方形の紙きれを、 胸ポケットからすばやく取り出した。 その紙切れの四つ角には、それぞれ東西南北の文字がある。 (どこだ・・・) 目を見開き、意識を集中させる。
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