嫉妬心─

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「あーぁ、やっぱり……サボりたかった…」 ナギの布団に横たわり、独り言を呟く。 まだナギは、風呂から上がってきてない。 「はぁ…」 俺はただ…、 学校にいると、ナギと一緒にいれないのが嫌で、 ナギと一緒にいたいだけなのに。 きっと、ナギは、そんな俺の心情を理解していないのだろう。 でもまぁ。 理解されても、些か困るけど。 まぁいいや。 どうせ、明日のハセとのお出かけ。 ナギも来るのだろうし。 でも、それはそれで、 ずっと一緒には居られないよな。 「…なんなんだろ……この感情は」 今までに感じたこともない感情。 不思議なもやもやとした感情。 ずっと一緒にいたい、なんて。 馬鹿馬鹿しく笑える。 変な感情だよな。 なんなんだよ、ほんと。 「ナギ……」 「あ?んだよ」 「っ、い、いたの…」 「今だけどな。んで?なんだよ」 「あ、ウウン。なんでも…ない」 「んだよー。拗ねてんのか?」 「別に、拗ねてなんかいないよ。…ただ、ちょっと考え事」 「……ふぅん」 なんだか、怪しんだような目でナギは見てくるけど、すぐに目を逸らすなり、タンスからブラウスを取り出す。 首に掛けていたバスタオルを床に捨て、ナギはブラウスの袖に腕を通した。 そんなナギをボーッと眺める。 寝癖……取れてる… うわ、落ち着いてるなぁ。 ていうか、寝癖取れてるナギって… ちょっとカッコイいかも……? 見慣れている姿であるのに、なんで今更そんなことを思うのだろうか。 はぁ、訳がわからない。 「瑠衣。着替え、もう少し待ってな。そろそろ、乾燥も終わると思うから」 「あ、う、ウン……ありがと」 「…?お礼?んだよ、珍しいな。こんなのいつものことだろ」 「…そだね」 あぁ、なんなんだよ。 「ナギ」 「ん?」 「…俺、…やっぱり変だ」 「はぁ?」 え、 「変だって…なんだよ。 体調悪いのか?」 「あ、いや…そういう変じゃなくて」 鋭い時は鋭いナギなのに、鈍い時はとことん鈍いよなぁ。 なんだよ、体調悪いって。 全然元気だよ。 でも、なんて説明すればいいの?
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