優しい渚真琴と──

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「ナギ…顔赤くない?」 ナギの膝に座って、ナギを見上げてそう聞く。もちろん、俺はゲームをやっている。 「赤くねぇよ」 「ふぅん」 それでも、心なしか頬が赤いのは解っていた。解っていて聞いた。 だって、 幼なじみだから。 それ以下の関係でも、それ以上の関係でもないから。 「熱あるようだったら、無理しないでね。ナギいないと学校行くの面倒だし」 「あーはいはい。わかってますよ、瑠尹」 「…でも、ナギがいないとつまんないし」 ナギが俺の前に腕を持ってくる。 俺はDSを閉じて、ナギに寄りかかる。 ナギの腕を掴んで。 「ナギ。俺さ…変かな」 「…変じゃねぇよ」 「そうかな」 じゃあ、ナギが変なのかな。 渚真琴と言う男は俺なんかの為に、どんな友達よりも優先する。 時折、心配になる。 ナギに彼女が出来ないのは俺が原因なんじゃないかって。 別にナギに彼女が出来ようが出来なかろうが俺には関係ないけど、 でも、ナギは思っている以上にモテるらしいから。 何度か、女子に告白されてるのを見たことある。 けど、毎度ナギは断ってるし。 理由は、解らないけど。 「……なんでそう思う?」 「教えない」 「あ、そう。けど、もし、おまえが変だったら、それに付き合ってる俺も変ってことだな」 「ウン…そうだね」 ナギのこういう言葉は嬉しい。 顔に出すのは苦手だけど、本当は凄く嬉しいんだ。 一人じゃないんだって解る。 「ナギ。明日の朝、起こして」 「わぁってるよ」 欠伸をして、ナギに体を預けて、瞼を閉じる。今度は寝る気満々で。
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