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ぶくぶくぶく~
風呂の中に口を入れて、むくれたように俺はそんなことをしていた。
その後に、溜め息。
「よかったら、真琴君もお風呂行ってきたらー?」
「いやぁ、遠慮しますよー。瑠尹に怒られるんで」
「もぅ、なに言ってるのよ。あれは、照れ隠しよ。もぅ、可愛いんだからね」
「っはは、そうですね」
なにが、そうですね、だ。
会話がダダ漏れ。
わざとなのでしょうか。
こんな母さんと付き合ってると、疲れる。
めんどくさい。
けど、悪くない、なんてことも思う。
「うー」
明日も学校かぁ。
面倒。
休んだらダメかな。
「はぁ」
風呂から出れば、一気にお湯がこぼれ落ちる。そのタイミングで、ナギが来た。
本当に来た。
来なくて良いのに。
「なにしに来たの」
「風呂に来て初めて、なにしに来たの、なんて聞かれたな」
「ここ、俺の家だし、今、俺が風呂に入ってる。なんで来たの?母さんに言われたから?」
「まーそうだけど…やっぱおまえ怒るよな。なに?恥ずかしがってんの?」
「は?そんな女子の裸を見た訳でもないのに。そもそも、ナギの裸見ても興奮すらしないよ」
「さりげなく傷付くような事言うなよ」
面倒な顔をあからさまに出してナギを見る。
やっぱり、ナギもめんどくさい。
たぶん、一番一緒にいる時間が長いから、一番めんどくさく感じていると思う。
「というか、興奮して欲しかったの?」
「どうせなら」
「ふぅん。めんどくさいね」
「めんどくさい言うなよ」
唐突に、ナギは後ろから抱きついてくる。
無駄に堅い胸板を当ててくる。
「なに…?」
「可愛いなぁって」
「意味わからないよ」
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