優しい渚真琴と──

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「ていうか、母さんに言えば、ナギの分のアイス貰えたと思うけど」 「あ、そっか。いやぁ、でも、俺、寛ぎ過ぎじゃないか?」 「そう思うならとっととお帰りになってください」 自覚済みってところが、ナギらしいって言うか。 まあ、いつものことだけどさ。 「それともなにかぁ?俺に早く帰って貰わないといけない理由があるのか?」 でも、ナギのこういった直感は正直めんどくさくて、嫌になる。 「…別に」 そして、俺はいつもナギに嘘を貫き通せないんだ。 「どうせまた、ゲームだろ」 「………別に、ナギには関係ないじゃんか」 ナギのゲームをやっている訳でもないし、ナギに迷惑を掛けている訳でもない。 なにも問題はないってのに。 「関係なくても、夜通しゲームやられちゃ、こっちだって心配になるだろうが。授業中だって、おまえ、ずっと寝ててさ」 それは、授業を受けたくないだけで、眠たくて寝てる訳じゃない。 けど、どうせナギのことだから、そのことを言った所で、言い訳だとか、なんとか言ってくるんだろうな。 まあ、でも、寝てるだけじゃないけど。 「なんだって良いじゃん。俺、部屋行くから。ナギも。早く片付けてよ」 勉強用具は出しぱっなし。 帰る準備なんて出来てなかった。 とっとと俺はリビングから出て、階段を登り、自分の部屋に入る。 電気をつけて、テーブルの上を見る。 やっぱり、出しっぱなし。 ナギに限っては、携帯まで出しっぱなしだった。 俺はそこら辺を無視して、ベッドにへと座った。 「……あれ」 自分の携帯を確認したとき、メールが届いていた。あまりナギ以外からメールが来ないこの携帯に。 珍しくて携帯を手に持つ。 「あぁ…ユキか」 他校の知り合い。 いや、友達って言わないとナギが怒るんだっけ。 中学の頃、バスケの練習試合をして知り合った東京の友達。 練習試合の時にしか会わなかったけど、メールの遣り取りはしていた。 練習試合の時から、二回か、三回ぐらいしか会っていないし、どれもバスケの練習試合。 最後に会ったのは、丁度去年で、俺がバスケを止めた一週間前だった、かな。 会いたい、とか思わないけど、でも、久しぶりに話したい、とは思った。
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