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至って届いたメールの内容は、微笑ましく、ユキらしいな、なんて思う。
『ルイ、久しぶり。
おまえの高校、どんどんレベルアップしてるんだってな!いやぁ、今年も練習試合楽しみだなあ。
俺がこの高校に入った訳、もちろん、おまえと戦いたくて、なんだからな。
それはそうとさ!最近、オレの学校の近くにでっかいデパートが出来たんだ。練習試合の後の自由時間。良かったら、一緒に行かないか?』
なんともまあ、罪悪感に満ちる内容だった。
ユキは俺がバスケを辞めたって知らない。
だから、今年も楽しみにしているらしい。
なんてメールの返信をしようか。
そのまま、でいいか。
『ごめん。
バスケ、辞めたんだ』
そんな短文だけのメールを送った時、ようやくと言わんばかりに、アイスを咥えたナギが部屋に来た。
ナギはテーブルの上を片付ける前に、テーブルの上にある携帯を手に取った。
そしたら、満面な笑顔でこっちを見てくるのだ。
「な、な、に?」
「見ろ!このメール」
ぐいっ、と強引に押し付けられた携帯画面。
『真琴、帰る気がないなら、そのまま瑠衣君の家に泊まりなさい』
はあ!?
って、そんな言葉は俺の口からは出ないけど、でも、俺の反応はそんな感じだった。
こうなると、ナギが帰るとはとても思えなかった。
溜め息を吐いて、ナギを見る。
「もう、イヤ」
トゥルルルル──
「え、?」
携帯が鳴った。
突然として、自分の携帯を見る。
『ユキ』
なんともアイツらしいというか。
「もし」
『バスケ辞めたってどういうことだよ!』
完全に言葉を被せてきた。
俺が、もしもし、と言い切る前に、大きな声で耳がキーーンとする程の声で怒鳴ってきた。
ナギが爆笑するように、笑う。
声は漏れたらしい。
「えっと…そのままだよ」
『なんで、辞めたんだよ。バスケ好きだったじゃんか』
「…別に。ナギに誘われたからやってただけ」
『渚さんは辞めたのか?』
「ナギは…辞めてないけど…」
『じゃぁ、なんで辞めたんだよ』
「そんなの…ユキには関係ないことだよ」
『関係ある!俺、おまえとの練習試合すっげぇ楽しみにしてたのに!全国で戦おう!って約束しただろ?』
勝手にユキが決めたことだった。
全国なんて、どうでもいい。
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