優しい渚真琴と──

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花の無い学校。 むさ苦しい男だけの居る、男子校。 だったのだけど、近くの女子校が工事ということで、俺達の学校に半年間通うことになってる。 まあ、夏休みに入るまでの間、だ。 そこで俺は、高校二年生というものを満喫していた。 いや、正直あまり満喫はしていなかったのかもしれない。 学校なんて面倒だし、授業もまともに聞いてなんかいない。 かと言って、友達がいるのだろうか、、 「おい、瑠尹。そろそろセンセ来るぞ」 「……ん、」 幼なじみのナギ。 本名、渚真琴。 俺の唯一の友達と言えるのかもしれない。 いつも、面倒を見てくれて、良い奴。 今だって、机に這いつくばって寝ていた俺をお越しに来てくれた。 席だって、離れてるのに。 「…寝るなよ」 それだけを言って、俺の言葉を聞くことなく、自分の席にへと歩いていく。 自分の背中に比べると、大きな背中。 自分より大きな身長。 「…ウン」 聞こえていないと解っていても、そう言葉を出した。 ナギは不思議だ。 こんなめんどくさい俺といつも一緒にいてくれる。面倒だって思わないのだろうか。 同じ高校にも来て。 家も近いのに。 毎日、一緒にいて当たり前の生活。 ナギのいない生活なんて考えたことない。 朝も家まで来て起こしてくれて、夜だって、一緒に寝ることもある。 幼なじみだから。 どんな時も一緒にいる。 「……」 せっかくお越しに来てくれたナギには、少しだけ悪いと思うけど、俺はまた寝ることにする。 眠たいし。
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