優しい渚真琴と──

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最後の一口のクレープをようやく食べ終われば、それを見計らったように、ナギは口を開いた。 「やっぱ、嫌か?バスケ」 「…ウン」 ナギは俺が嫌がることはしてこないし、強制してこようとはしない。 ウザイこととか、しつこいこととかは、あるけど、俺がちゃんと嫌がれば、してこなくなる。 けど、この事に関しては曖昧な返事で返してしまっているから、ナギもこうなるのだと思う。 やっぱり、小学生の頃からずっとナギとバスケをしてきたし、いきなり二年に上がってから止めてしまった。俺がいないと、みたいなのがあるのだと思う。 でも、バスケをしたくない訳じゃない。 バスケを嫌いになった訳じゃない。 ナギが誘うなら、本当はまだバスケをしていたいと思う。 矛盾した言葉ばかりを並べてしまうのは、まだ、答えが出ていないからなのかもしれない。 気づけば俺は、足を止めていた。 少し先で止まったナギを見る。 「瑠尹…?」 「ナギはさ、俺がバスケを止めた訳、知ってるじゃん」 「ああ」 これは俺のワガママ。 ナギもそれは知ってる。 けど、どうしても許せないことぐらい俺にだってある。 「…イヤだよ」 ほそり、とか細く言葉は流れる。 「うん、知ってる。瑠尹のことは、俺でなんとかするからさ」 「なんとか、なる…?」 俺のワガママが通るの? 「なる」 腰に両手を当てて、当然だろ?みたいな顔をして、ナギは断言する。 ナギがそういう態度を取ると、そうなれるのかもしれない、なんて思える。 「もし、おまえのこと、チッコいって言った奴には、俺がボールを顔面に投げつけて二度と言えなくするからさ」 自分でも思えてしまう。 バスケを止めた理由がくだらないってこと。 身長が無い。 こんな理由で止める人っているのだろうか。 とことん、面倒くさがりなのかもしれない。 「でも…まだバスケはやらないけどね」 「まじかよ。騙された気分なんだけど」 「騙してないよ」
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