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「さっすが瑠尹クン。授業も瑠尹に教えてもらえれば、なんも不満はないぜ」
都合が良いなんて思える。
けど、それに見合ったなにかをナギはしてくれるから。
「やだよ。めんどくさい……疲れた」
ぽすん、とナギの胸に体を預ける。
昔と違って、柔らかくない。
鍛え上げられたら筋肉のせいか、堅い。
でも、ナギだから、別にそれでもいい。
「なんだよ、体力ねぇなあ」
「ウン」
「即答かよ。腕もぷにぷにだもんなぁ。太ったんじゃないか?」
「かもね」
ナギの胸の中は落ち着く。
誰よりも、どんなときよりも。
ナギの胸の中が一番落ち着く。
スヤァ──
「マジすか」
額に手を当てて、ナギは嘆くように呟くが、ナギの手は俺の頭の上にあって、優しく撫でていた。
大きな手で、優しく。
「幼なじみだからと言っても…無防備過ぎやしませんかね?瑠尹」
「…意味わかんない」
「って、んだよ、起きてたのか」
「一瞬でも寝てたよ…ふわぁ、」
大きな欠伸をして、ナギから退く。
ベッドに戻って、傍にあったDSを手に取り、ナギを無視してゲームを始める。
「眠くてもゲームはするんだな」
「…とーぜん」
「つか、瑠尹。飯、どーすんの?」
「母さんが買ってくると思うけど」
母さんが買ってくる保証はどこにもない。
けど、まあ。
そう言っとけば良いとか、思った。
めんどくさいし。
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