第1章

4/6
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「そんでもって、ぽたんと落ちた刀を侍が拾いやして、この、あっしのもとどりを、ずばっと。いや、その早業にたまげたの、なんの」 「まてい! その話は長くなるのか? なげえ話を聞いてるばやいじゃねえんだろ?」 「へい。その通りなんで。いくら、お頭が自己流で脇差しが使えると言っても、なにしろ相手は侍だもんだから……こいつは一刻も早くお頭の耳へ入れて、逃げる暇を稼ごうと。へい」 「わかった! お頭は裏で水浴びしてるから、早く知らせに行きやがれっ!」 「へ、へいっ!」 瓢吉は、横の木戸を開けて飛び出した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!