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「そんでもって、ぽたんと落ちた刀を侍が拾いやして、この、あっしのもとどりを、ずばっと。いや、その早業にたまげたの、なんの」
「まてい! その話は長くなるのか? なげえ話を聞いてるばやいじゃねえんだろ?」
「へい。その通りなんで。いくら、お頭が自己流で脇差しが使えると言っても、なにしろ相手は侍だもんだから……こいつは一刻も早くお頭の耳へ入れて、逃げる暇を稼ごうと。へい」
「わかった! お頭は裏で水浴びしてるから、早く知らせに行きやがれっ!」
「へ、へいっ!」
瓢吉は、横の木戸を開けて飛び出した。
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