正室の秘密を知る姫

3/13
前へ
/13ページ
次へ
「お濃は・・・ 気位の高い女であった。 嫁いで来たその夜も、かたくなに予を拒むのだ。 予も若かった。」 信長公は、自嘲気味に語る。 美加は葡萄酒を味わう。 「初めて男に抱かれるお濃を、予は力尽くで奪った。 婚姻したのだから夜を共にするのは当然であろう。 しかし・・・後味の悪い夜であった。 それからも、夫婦であるのだから一定以上の時を空けぬように通った。 不仲であると美濃に、斉藤道三に言われるのも、尾張としては避けたかった。 お濃を大切にしている、それ故に頻繁にお濃の元に信長が通っていると、美濃に思われたかった。」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

153人が本棚に入れています
本棚に追加