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「どんなに予が通っても、帰蝶は予に心を開かぬ。
開かぬならそれでもよいが、予としては通わねばならぬ理由もある。
どうせ通うなら、心が通じていたほうが良いというものを。
あのお濃は、予にいつも指図ばかりする。
予の足りない政(マツリゴト)を指摘するのだ。
さすがに、あの道三の娘。
その指摘は見事に当たっているから、余計に腹が立つ。
そんな関係を終わらせたのは、嫁いできて七年目。
お濃の父である斉藤道三が義理の息子の義龍によって死んだ。
義龍とお濃は、犬猿の仲。
お濃は、己を支えていた美濃の後ろ盾と、絶対無二の父を同時に失った。」
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