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瀧 「宮藤さんの分の白装束は、私が師匠から預かっていますからね。
ここまで来たら一緒にやりましょう。
絵を描くにも集中力や、精神統一が役に立つでしょう?」
宮 「そうなんだよ。 さすが、分かってるねタキガミ君」
辰 「お前、滝行の後の 温泉が目的だろ!!
弟子でもないのに、厚かましいやつだ。
師匠も甘やかすから、こいつ調子に乗って……」
瀧 「いいじゃないですか。ここはひとつ仲良くやりましょう。
私も温泉を楽しみにしているんですから。
何といっても、二柱の龍神様が見られるかもしれませんしね」
そう、鑑定師の間でウワサになっている山中の温泉郷に、三人は向かって
いて、200年に一度、そこを二柱の龍神様がお通りになるらしいのだ。
そして、龍神様を見かけた人は、幸せになれるという 言い伝えがあり、
それを検証するための滝行である。
いや、本当のところは龍神様を見に温泉に行きたかったのだが、
修行という口実を作らないと、弟子の分際では行きにくい。
必ず 龍神様を見られるという保証もない。
なので、滝行なのだ。
どちらにしても、そんなことは多神子にはお見通しなのであって
弟子たちが仲良くしている様が面白く、楽しいのであった。
今は亡き 多神子の友人で 仕事の相棒でもあった、
「瀧上マリエ」の一人息子の タキガミ。
マリエが亡くなってから、随分荒れた生活をしていたと聞いていた。
タキガミが元気になってくれるのが一番うれしいと
多神子は思っていた。
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