第1章 神宮寺 あ か り

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神宮寺あかり 17歳。 ごく普通の高校生である。 実家は神社で、縁結びの神様を祀ってある。 神様とご縁の深い生活環境にいるせいなのか、 あかりの部屋には「金太&花」という 双子の座敷童子(ざしきわらし)が住んでいた。 人間の子供でいうなら、5歳くらいだろうか Tシャツにハーフパンツ、 スカートという出で立ちだ。 そこらへんの子供の中にまぎれても、 なんら違和感なしである。 もちろん、見えればの話だが…。 大好物はフライドポテトらしい。 「らしい」というのは、 これはすべて妹のみさとに 教えてもらった情報だからだ。 もうこうなると座敷童子(ざしきわらし) と言うより、座敷キッズである。 「あっっ!!  シッッ!!  あっちさいげ!!」 「んだ!! おっかねー! あかり~虫さでたど!  掃除してけろ!!」 なぜか東北弁。 あかりには、金太と花のこんな会話も聞こえない。 姿が見えないのはもちろん、気配すら感じないのだ。 しかし、あかりには4歳になる妹のみさとがいる。 幼いながら高い霊能力を持ち、 見えないものを見、聞こえない声を 聞くことができるのだ。  「姉さま、金太と花が掃除してけろって言ってるよ!  ゴキブリ出たって!!」と、このように教えてくれる。 「え~!! どこっっ!!」 まるで神様との間を取り持つ、通訳のようである。 実に頼もしい。 それと、誤解のないように書いておくが、 座敷童子は神様なのです。 幽霊や妖怪のたぐいではないので、あしからず。 で、言うても子供の神様だから、 大した力はないだろうと思っている そこのアナタ!! それはとんでもない誤解です。 金銭運はもちろんのこと、家庭運,健康運、 仕事運に至るまで、あらゆる運の底上げをしてくれ、 運命そのものを好転させるほどの力を持つ 有難い神様なのだ。  すごいのである。
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