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「 時がきました。
約束を果たす時がきたようです 」
唖然としている 多神子とあかりを見て、
霊体は語り始めた。
普通この場合、今までのあかりであれば
《見えない》はずだが、
あかりにも《見えた》のである。
ここ数か月の、修行? の成果かもしれない。
「 名を申します。
私の名は[悠之丞(ゆうのじょう)]
平安後期の 陰陽師(おんみょうじ)でした。
子孫の力を 借りるべき時がきたようです 」
「‥えっと? 子孫って ??
誰が??」と あかり。
「 そなたの事です 」と 悠之丞。
そして 悠之丞は、
多神子のほうに向き直り こう言った。
「 私に語りかけてきたのは、そなたでありましよう?
何やら 子孫の波動をたどるうちに、
月の器のようなものに
乗ってここまで滑ってまりました。
それがものすごい速さでして、
いやはや このような事は
はじめて経験しますゆえ、
返答できずにおりました。
これも時代の流れというものでしょう、
霊体を運ぶ乗り物があるとは!」
「 ええ、私もびっくりしておりますよ。
霊体も運べると言ったほうが正しいでしょう。
これは 通信機器の端末でございますからね。
私らが若いころは、
こんなに便利なものはございませんでしたから、
施術の方法も時代とともに
変えてゆかねばなりませんねぇ 」
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