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3・母 恵(めぐみ)
あかりの母、恵は代々巫女の家系の新城家の生まれである。
巫女と言っても一般にはあまり馴染みがないと思うが、巫女とは、
古来より、祈祷をしたり、占いをしたり、時には御神託を得て他の者に
伝えたりと、神様との連絡係のような女性のことである。
最近では、神職の補佐をしたり、神楽を舞ったり、御守り売り場の
手伝いをしたり、という女性を指して使う事がほとんどであるが、
新城家は先祖代々、巫(かんなぎ)として高い霊能力を持ち、
神に仕える一族なのである。
新城家は、とある山深いところに位置し、地元の郷の者以外には、あまり
巫女としての存在を知られていないはずである。 が、しかし、
当主の霊力を求めて、新城家には相談者の来訪があとを絶たない。
相談者のほとんどは、地元の著名人や資産家などであるが、噂をききつけて
遠方からやってくる者も 少なくない。
現在は、恵の双子の姉 光(ひかり)が16代目の頭主を引き継いでいる。
恵も新城家の直系であるので、高い霊能力を持っていたが、みさとを
産んでからは、霊的なものをさっぱり感じなくなっていた。
まるで、すべての霊能力をみさとに渡してしまったかのようである。
だからと言って特に困ることもないので、気にはしていない。
あかりを産んだ時には何の変化もなかったのだから、不思議だが、
きっとそうなる事が神の御心に沿うことなのだと恵は思っている。
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