第1章 神宮寺 あ か り

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「お母さん、話があるんだけど…」 「なあに、どうしたの?」 「携帯電話をスマホに買い替えたいんだよね。   貯金もたまったし、通話料もお小遣いでできるだけ払うようにするから‥   いや…お小遣い、いらないから‥。   神社の仕事も手伝うし…。  ねっ! いいでしょう? 」 「そうねえ…。   でも、スマホに夢中になって、勉強がおろそかに   なったら困るわね。   お父さんに聞いてみるから、ちょっとまってて」 そこへ多神子が訪ねて来る。 「あかりちゃん、いる?」 「あら、タミおばちゃん いらっしゃい、 あかりならそこに‥」 「あかりちゃん、ちょうど良かったわ。     家に来て、パソコン教えてくれないかしら?   いつもなら、タキガミ(弟子)にやってもらうんだけど、   弟子たちみんなで[滝行]に行ってていないのよ」 多神子 75歳。 パソコンどころか、銀行のATMすら使えない 機械オンチである。 「それはいいけど…。  今、スマホを買ってもいいかどうかの   相談中で、取り込んでるから後でね」 「スマホって?  ああ、パソコンが使える携帯電話のことね。   それなら、おばちゃんが買ってあげる。 その代り   おばちゃんの仕事を手伝ってもらうっていうのは、どう?」 「ええ~!!  いいの! やったー!!   じゃあそうする。 お母さん、いいでしょう?」 「もう、タミおばちゃん あかりには甘いんだから」 「宗徳さんには、私から許可をもらっておくからね」 「じゃあさっそく、おばちゃん家に行こうか?   私、学校でパソコン習ってるから、得意だよ」 「あらそう? 助かるわ~。   恵さん、あかりちゃんをちょっと借りるわね」  
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