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「お母さん、話があるんだけど…」
「なあに、どうしたの?」
「携帯電話をスマホに買い替えたいんだよね。
貯金もたまったし、通話料もお小遣いでできるだけ払うようにするから‥
いや…お小遣い、いらないから‥。
神社の仕事も手伝うし…。 ねっ! いいでしょう? 」
「そうねえ…。
でも、スマホに夢中になって、勉強がおろそかに
なったら困るわね。
お父さんに聞いてみるから、ちょっとまってて」
そこへ多神子が訪ねて来る。
「あかりちゃん、いる?」
「あら、タミおばちゃん いらっしゃい、 あかりならそこに‥」
「あかりちゃん、ちょうど良かったわ。
家に来て、パソコン教えてくれないかしら?
いつもなら、タキガミ(弟子)にやってもらうんだけど、
弟子たちみんなで[滝行]に行ってていないのよ」
多神子 75歳。 パソコンどころか、銀行のATMすら使えない
機械オンチである。
「それはいいけど…。 今、スマホを買ってもいいかどうかの
相談中で、取り込んでるから後でね」
「スマホって? ああ、パソコンが使える携帯電話のことね。
それなら、おばちゃんが買ってあげる。 その代り
おばちゃんの仕事を手伝ってもらうっていうのは、どう?」
「ええ~!! いいの! やったー!!
じゃあそうする。 お母さん、いいでしょう?」
「もう、タミおばちゃん あかりには甘いんだから」
「宗徳さんには、私から許可をもらっておくからね」
「じゃあさっそく、おばちゃん家に行こうか?
私、学校でパソコン習ってるから、得意だよ」
「あらそう? 助かるわ~。
恵さん、あかりちゃんをちょっと借りるわね」
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