第1章

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黄色さんの悩み事②  自分の爪よりも小さな小さな生き物。それがこの間からちらちらと目に映るようになった。  6匹のイタチ一家だ。あれから巣穴のはじっこに小さな横穴が空いてるところを見つけ、外へ続く入口にも近いことから引っ越し先に決めたようだ。  親が小さな獲物を捕まえては運んで、子供に食べさせている。でもこの数日は雨だ。しかもどしゃ降り。小さな獲物ほど巣穴に閉じ籠って出てこないから、イタチ一家は腹ペコ。子供達がチーチー鳴いている。  気になる。うるさいわけではないけれど、気になる。親も何度か狩りに出たけれど、すぐに帰ってくる。仕方ないだろう。獲物が見つかりにくいだけでなく、自分の敵の気配や音も消してしまうのだ、大雨ってのは。  仕方がない。心配しているわけではない。気になっておちおち昼寝もできんからだと、自分に言い聞かせながら黄色さん外出。
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