第1章

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貴方の側が私の居場所②  抱き締めていた琥珀を見つめる。知り合った頃と大分サイズが違うけど、俺にくれる優しさはあの頃より大きくあたたかい。 「俺ね、自分の親にあんまり愛されてこなかったんだよ。甘えたり我が儘言った記憶もあんまりないし、叶えてもらった記憶もない。そこそこ友人もいたし恋人もいた。でも友人にはあんまり心を開くことが出来なかったし、恋人にもこの人とずっと一緒にいたいと思えなかった。今思えば可哀想なことしたなぁ」 「長年生きてきた世界と別れてこの世界に来ることを選んだ時、琥珀とずっと一緒にいたいと思った。心がね、喜んだんだよ。なにも偽らないおれ自身を望んでくれた琥珀の気持ちが」  黙って聞いてくれる琥珀の瞳。感情豊かな金色の宝石。 「俺はね、琥珀の側で今とっても幸せなんだ。皆に出会えたのも琥珀のお陰、俺の全てを知ってそのままを受け入れてくれる喜びを教えてくれたのも琥珀」  おでこに軽くキスをすると尻尾がフリフリしてる。かわいい。
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