第1章

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とある女性の決意④  娘を無事に嫁がせることができた。アグレスも婚約者の成人を待つだけだし、レティシアの相手も決まりつつある。娘がいなくなり寂しく思っていたのを察してか、アグレス達が私のことをお母様と呼んでくれるようになった。レティシアとミレイは楽しげに、アグレスは照れながら。  本当に心の優しい子達だ。  そしてミレイとの別れも覚悟した。  前触れもなく襲う発作に今までよく耐えてきた。が、次に大きな発作がくれば乗り越えることは厳しいと宣告されたから。  薬が効かない。  国中の薬効高い薬草を試しても変化はなく、今ではほぼ寝たきりになり、ひどく痩せた。  マリーと医師と料理長が手を尽くしているが、もう手立てはないだろう。  夫とミレイについて話していると、グラウスから国外の医師に診てもらえることになったと聞いた。  山脈の向こう側に住む魔術師とのこと。そんな話は聞いたことがない。山脈の向こう側は、人の立ち入れぬ魔獣の縄張りだと聞いていたから。
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