第1章

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あたちというものがありながら!④  保育士になるべく大学に通っていた頃に付き合っていた彼女がいた。  サークルの飲み会で、隣にもれなくおねーさんがくっついてくる店で飲んだ帰り、サプライズで遊びに来ていた彼女に、香水の移り香で誤解され詰られ拗ねられたことがある。  まさか似たような体験をするとは思わなかった。しかも娘虎に。  フンフンスンスンフンフンスンスン  部屋に戻ると昼寝から起きた真珠達に出迎えられ、膝の上にいそいそと乗ってきた真珠。そして固まった。  服の匂いをフンフン嗅いで、掌も嗅いで「ウゥ~」と唸った。  驚いて真珠を見ると、鼻にシワを寄せてフンフンしながら上目遣いで睨まれた。尻尾を少しふくらませ、脛の辺りをバッシバッシ叩きながら。
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