第1章

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花畑王子の懺悔④  婚約者が成人を迎え、正式に妻となることが決まった。私の、ミズキ殿への愛情を知っている陛下から、使者としてかの国へ行き、結婚を申し込むように言われた。  国の後継として跡継ぎをもうけることは義務だ。王太子妃として身分も申し分ないし、妹のような愛情しか持てないが大事にする気もある。  ただ、心からの愛はミズキ殿に。  その胸の内は本人には告げた。美しく成長した彼女は、ぎこちない笑みで宣言を受けた。お互いに子供の頃から決められた結婚だ。王族としては仕方ない。  妻としてきちんと遇するのだから良いだろう。その時は本気でそう思っていた。  今となっては後悔しかないが。    
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