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男は箱の中身を気にしている
中身は男の好きなもの、愛するもの、楽しいもの、そういったものが詰まっている
だが男はそれを開けるのをためらっている
箱の中身
それが変わってしまっていたら
自分が思っていたものとはちがったら
裏切られたら
嫌われたら
期待の分だけ男は失望する
それが恐くてこわくて
ためらっている
もし開かない場合は?
こじ開けたら壊れるのでは?
そもそも中身が自分の好みのものであったのだろうか?
男はどんどん疑心暗鬼にかられる
胸のいやな圧迫感、灰色の刺がほのかに刺さり、想いと涙が染み込む
男は箱の中身を気にしている
男はためらっている
何も変わらない、それを望んでいるかもしれない
少なくとも失望することはないのだから
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