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「なあ。こうしてずっと歩いていたら楽しいだろうな」
「食堂までね」
JKはいたってクールだ。
「あの地平点まで行ったらどうなるんだろうなあ」
「さあ。多分繋がってるんじゃない。廊下の先はぐるっと大きな円を描いて元の場所と繋がってると思うよ」
「でも。ずっとどこまでも廊下が続いているかもよ」
「そんなことあるわけないじゃない。物理的に不可能よ。手繋ぐ?」
「な、なんで?」
「もっと楽しいかもよ」
「いや、いいよ」
「そう。じゃあ、やめとく」
JKの深い緑色の瞳が健吾の顔を品定めするように覗き込みながらそう言う。
やっぱり手、繋いどけばよかったかなとぼんやり考えたが、もう遅い。
「なぁ、なんで俺たちこんなところにいるんだろう?」健吾は代わりにかねてからの自分が抱える不思議を口にした。
「どういう意味?」
「うーん。難しいんだけど。僕らがここにいる意味ってなんだろう?僕らはなんでここで、何のために生きてるのか?不思議じゃないか?」
「何のため?生きることそれ自体が目的だから、意味って言われても、意味はないと思うけど……」
「いや、そうじゃなくて、なんで僕はこの僕なんだろうなぁ?ってさ。僕じゃなくてもいいはずなのに……つ、つまり、逆に言えば、僕は僕じゃなければならない何か特別な意義のある人間としてここに存在していたいんだ」
「……あーね。それは幼児的な万能感の表れね」
「……」
行く手に食堂、会議室、指令室などが収まったユニットスペースが見える。B-123型ロボットが増えてきた。健吾たちの周りを取り囲み、ピーピーと何やら忙しく発信音を鳴らしている。Mo●uraチェックだろう。
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