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少年の名は相良 俊哉(さがら としや)という。
今この時、相良俊哉は人生で一番幸せな時間を過ごしていた。
なにせこの学校に入って一目惚れをした少女と付き合っているからだ。
その少女は見た目は抜群でかわいく学力はそこそこなのだが、運動神経がよく走るのが速い。
俊哉はよく彼女が陸上部の練習で走っている姿に見とれていた。
彼女の名は蓮水 桜香(はすみ おうか)。
桜香は部活一筋で恋愛など無縁であった。
陸上部の仲間からよく俊哉が見にきているの言われていたけど、桜香は特に気にしてはいなかった。
しかしある日、桜香が学校で部活の準備をしていると遠くのほうで数人の男子が何やらもめていた。
桜香は気にせずに準備の続きをしていると、もめていた男子の中から一人他の人に背中を押され前に出てきた。
「は、蓮水さん」
若干裏返った声で桜香を呼んでいるのが聞こえた。
私はあまり気にせず作業を続けていると、同じ陸上部の西島 優奈(にしじま ゆうな)が寄ってきた。
「早く行きなよおーちゃん、呼んでるから」
おーちゃんとは桜香の愛称だ。
「いやいいよ。どうせなんかの罰ゲームで私をからかいに来たんでしょ」
どうせいつものことだと思い無視していた。
「いいから」と優奈は桜香の背中を押した。
桜香は仕方なく行くことにした。
一方の男子は緊張のあまり小刻みに震えていた。
そして、桜香が男子の前で立ち止まり向かい合う状態になった。
「何の用?」
「え、えと…は、蓮水さん」
「はい?」
「そ、その…付き合ってください」
一瞬時が止まった感じがした。
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