紅蓮の炎

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涼しい風、耳をくすぐる小鳥のさえずり、かぐわしい花の香り。 それが、私が感じた最初の感覚。 瞳を開けると、風で揺れている白い花が視界に入ってきた。その花は一本ではなく、私の周りを囲うように咲いている。どうやら私は花畑のような場所で眠っていたようだ。 体を起こして辺りを見渡すと、白い花の絨毯が広がっている。 隣に視線を向けると、薫もそこに横たわっていた。 私は薫の肩に手を伸ばし、ゆっくりと揺さぶる。 「薫、薫」 彼女の名前を呼び、起きなかったらどうしようという不安はすぐに打ち消された。 薫の瞳がうっすらと開いのだ。 薫は寝ぼけ眼で私を見たあと、ハッと気がついたような表情をして勢いよく起き上がった。 「学校!!」 薫は起きて早々そんなことを言ったが、私はゆっくりと首を横に振る。 それを見た薫は冷静になって辺り見渡した。 明らかに、先ほどまで居た公園ではないと彼女も気がついたようだ。 「ここはどこ?」 「分からない」 薫の質問に答えることは出来ず首を振る私。 私もここがどこなのか知りたい。知らなければならない。 二人で立ち上がると、目線が上がったことにより周辺の全貌が露になった。 私たちを中心にして、白い花畑、花畑を囲むように木々が生い茂っており、ある方向に視線を向けると、何か大きな建物の天辺だけが木々の隙間から伺えた。 やっぱり知らない処…… あの謎の黒い空間から連れてこられたのだろうか。
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