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『舞姫~』
私の名前を叫び、手を振りながらこちらへと駆けて来るのは私の幼なじみ ─── もとい、飼い主。
正義 誠-マサヨシ マコト-
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、自分こそ正義と思い込み周りの好意に超鈍感なイケメンというのが周りの認識。
でも、私にとっては天敵でしかない。
『何かご用でしょうか』
ヤツに対する感情を少しも表にださないで、ごく自然な笑顔を装って接するのはヤツに義務づけられた私の習慣の一つ。
『一緒に帰ろ?』
『…部活はどうしたのですか?
誠様は剣道部のエースです。』
私はこいつと関わりたくない。
今言葉を交わしただけで取り巻きのビッチ共からの嫉妬の嵐だというのに一緒に帰るなんて……面倒で仕方がない。
『今日はお休み。先生が出張なんだって。』
『……わざわざ僕と帰らなくてもよろしいのでは?
ほら、あちらのお嬢さん方が期待のこもった目線を向けています。誰か…『へぇ、僕に逆らうの?』っ、申し訳ありません。』
言葉が過ぎたようだ。ヤツの気にさわったらしい。
今は周りの目があるから私は頭を下げないし、ヤツも私に手を出さない。
サディストが…っ。
私は顔にださずないで悪態をつく。
救急箱はまだ余裕があったはずだけど、久しぶりだからキツイだろうな。
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